2006年 02月 24日
映画レビュー:ミュンヘン |
ここのところ、ずっとノンフィクション系の重い映画を見ている。
ここらでちょっと、感動ものが見たいと思って
「単騎、千里を渡る」を見ようと楽しみにしていたが、
時間が合わずに断念。
仕方がなく「ミュンヘン」を見た。
「仕方がなく」というのは語弊があるかな。
見たかったけど
ネットで「この映画を見る前に、70年代に起きた世界情勢や、団体名の意味を知らないと
楽しめない」と書いてあるのを見たからだ。
まだ事前予習をしていない・・
まあ、仕方がない。
釘付け状態(笑)
あまりの重圧感に、しばらく現実に戻れなかった。
家に帰ってネットを見てびっくりした。
あの映画、2時間45分もあったんだ。
全く長さを感じなかった。
スピルバーグって、やっぱりすごいんだ。
前回観た「ホテル・ルワンダ」は
奇をてらうことなく真っ正面から「善」な人を主人公に描いていた。
殺戮場面は間接的な描写だが、
それがかえって、はっきりとしたメッセージを
観ているものに投げ掛けてきた。
そのまっすぐな投げ掛けに
こちらも、少しでも何かをしたいと思うことで
受け止めることができた。
同じノンフィクションでありながら
「ミュンヘン」は全く違う。
ここには誰が善で、誰が悪なのかは描かれていない。
主人公はパレスチナ人テロリストに報復するユダヤ系暗殺者だ。
同じくユダヤ系のスピルバーグは、観ているものに何かを問いかけ
あくまでも冷たく突き放している。
「テロはいけない」などと簡単に言うことはできるが
その現実は、根が深く、複雑すぎて、重すぎて
簡単に受け止めることができない。
しかし
現実に起きた、こんなに重いストーリーなのに
スリルとサスペンス、スピード感、ショー的な背景をちりばめて、
スピルバーグ特有のエンターテインメントな娯楽映画としても
十分に楽しめた。
最後までハラハラどきどき
ああ、面白かった、スピルバーグってすごい!
・・・・で終わるはずだった・・・なのに
一番最後の場面
主人公の背景にはニューヨーク。
苦悩する主人公と依頼人のセリフ。
30年後を暗示させるようで、背筋が寒くなった。
やはりこれは、単なる娯楽映画ではないのだ
今もどこかで暗躍している現実なのだ。
実は4年ほど前、
例の同時多発テロが起きた次の夏に、
私の妹が、仕事で2ヶ月ほどイスラエルに渡った。
そのころ、またパレスチナとの間でテロが頻繁に起こっていた。
エルサレム、テルアビブ・・・
人が集まる場所には近付かず、公共の乗り物も使わないようにした。
無意識のうちに緊張の日々を強いられたという。
2ヶ月ぶりに日本の地に降り立った。
彼女の旦那が成田へ迎えに来た。
そして、リムジンバス内での会話。
妹 :私がいない間、日本では大きな事件とかあった?
旦那:あったよ。
妹 :なに?
旦那:タマちゃん。
妹 :はあ?それ、何?
旦那:あごひげアザラシのタマちゃん。
妹 :・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?
そのあと「タマちゃん」の詳しい顛末を聞かされた妹は
バスに乗ってるあいだ、ずっと笑いが止まらなかったらしい。。。
日本という国は、本当に平和だ。
そんな日本に住んでる私が、この現実をどうのこうの語れるはずがない。
でも、イスラエルとパレスチナのことをもっと知りたいと思った。
それほど見ごたえのある映画だった。
注意:「ゴッドファーザー」なみの激しくリアルな殺戮描写や、性描写があります。
不得意な方にはお勧めできません。
それから、ドキュメンタリーが得意でない方も、
スピルバーグの娯楽映画と思えば、結構楽しめるかな・・・決してお勧めはしないけど。。。
70年代の情勢に不勉強な私でも、大枠が理解できて楽しめましたが、「黒い九月」「モサド」や「PLO」など、細かい背景も知っていればさらに楽しめたと思います。
でも、ひとつだけ・・・当時のイスラエルの首相が女性だったということは、絶対知っておいたほうがいいです!
知らないと「あの偉そうなオバサン、誰?」っていうことになり、ストーリーについていけなくなるかも・・・
(私が危なかった!これだけは事前にネットで見ておいて良かった。。。)
ここらでちょっと、感動ものが見たいと思って
「単騎、千里を渡る」を見ようと楽しみにしていたが、
時間が合わずに断念。
仕方がなく「ミュンヘン」を見た。
「仕方がなく」というのは語弊があるかな。
見たかったけど
ネットで「この映画を見る前に、70年代に起きた世界情勢や、団体名の意味を知らないと
楽しめない」と書いてあるのを見たからだ。
まだ事前予習をしていない・・
まあ、仕方がない。
釘付け状態(笑)
あまりの重圧感に、しばらく現実に戻れなかった。
家に帰ってネットを見てびっくりした。
あの映画、2時間45分もあったんだ。
全く長さを感じなかった。
スピルバーグって、やっぱりすごいんだ。
前回観た「ホテル・ルワンダ」は
奇をてらうことなく真っ正面から「善」な人を主人公に描いていた。
殺戮場面は間接的な描写だが、
それがかえって、はっきりとしたメッセージを
観ているものに投げ掛けてきた。
そのまっすぐな投げ掛けに
こちらも、少しでも何かをしたいと思うことで
受け止めることができた。
同じノンフィクションでありながら
「ミュンヘン」は全く違う。
ここには誰が善で、誰が悪なのかは描かれていない。
主人公はパレスチナ人テロリストに報復するユダヤ系暗殺者だ。
同じくユダヤ系のスピルバーグは、観ているものに何かを問いかけ
あくまでも冷たく突き放している。
「テロはいけない」などと簡単に言うことはできるが
その現実は、根が深く、複雑すぎて、重すぎて
簡単に受け止めることができない。
しかし
現実に起きた、こんなに重いストーリーなのに
スリルとサスペンス、スピード感、ショー的な背景をちりばめて、
スピルバーグ特有のエンターテインメントな娯楽映画としても
十分に楽しめた。
最後までハラハラどきどき
ああ、面白かった、スピルバーグってすごい!
・・・・で終わるはずだった・・・なのに
一番最後の場面
主人公の背景にはニューヨーク。
苦悩する主人公と依頼人のセリフ。
30年後を暗示させるようで、背筋が寒くなった。
やはりこれは、単なる娯楽映画ではないのだ
今もどこかで暗躍している現実なのだ。
実は4年ほど前、
例の同時多発テロが起きた次の夏に、
私の妹が、仕事で2ヶ月ほどイスラエルに渡った。
そのころ、またパレスチナとの間でテロが頻繁に起こっていた。
エルサレム、テルアビブ・・・
人が集まる場所には近付かず、公共の乗り物も使わないようにした。
無意識のうちに緊張の日々を強いられたという。
2ヶ月ぶりに日本の地に降り立った。
彼女の旦那が成田へ迎えに来た。
そして、リムジンバス内での会話。
妹 :私がいない間、日本では大きな事件とかあった?
旦那:あったよ。
妹 :なに?
旦那:タマちゃん。
妹 :はあ?それ、何?
旦那:あごひげアザラシのタマちゃん。
妹 :・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?
そのあと「タマちゃん」の詳しい顛末を聞かされた妹は
バスに乗ってるあいだ、ずっと笑いが止まらなかったらしい。。。
日本という国は、本当に平和だ。
そんな日本に住んでる私が、この現実をどうのこうの語れるはずがない。
でも、イスラエルとパレスチナのことをもっと知りたいと思った。
それほど見ごたえのある映画だった。
注意:「ゴッドファーザー」なみの激しくリアルな殺戮描写や、性描写があります。
不得意な方にはお勧めできません。
それから、ドキュメンタリーが得意でない方も、
スピルバーグの娯楽映画と思えば、結構楽しめるかな・・・決してお勧めはしないけど。。。
70年代の情勢に不勉強な私でも、大枠が理解できて楽しめましたが、「黒い九月」「モサド」や「PLO」など、細かい背景も知っていればさらに楽しめたと思います。
でも、ひとつだけ・・・当時のイスラエルの首相が女性だったということは、絶対知っておいたほうがいいです!
知らないと「あの偉そうなオバサン、誰?」っていうことになり、ストーリーについていけなくなるかも・・・
(私が危なかった!これだけは事前にネットで見ておいて良かった。。。)
by nekodeko_51
| 2006-02-24 20:44
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