2008年 07月 18日
いただきもの着物 その9 |
いただきもの着物 第9弾目は
羽織と道行きコート。
この蒸し暑い最中に
こんな暑苦しいものを紹介して、ほんとスンマセン(汗)
まずは羽織。しつけ付きの新品。
桜色にきらびやかな刺繍がほどこされている凝った羽織です。
もしかしたら、
元は訪問着か何かだったのを仕立て直したのかな??
日常に着るって感じのものではないですね。
歌舞伎座の1等席に座るときとか
特別なお出かけに重ね着する羽織ものという感じでしょうか。
次は道行きコート。これも全くの新品。三越製。
胴裏には母の旧姓ではなく、今の名字が刺繍されているので
おそらく、我が家に後妻としてお嫁に来たときに、
継母方の母が誂えて持たせたのでしょうね。
そのせいか、ほかの若向きの着物に比べると、ちょっと落ち着いた色合い。
渋い赤と黒のグラデーション(つまり、ボカシ)。
この冬からすぐ着られる、使い勝手の良さそうなコートです。
この羽織も道行きコートも丈はだいたい80センチ強ぐらい。
どうやら戦後から昭和後期は、このくらいの丈が普通だったようで
古着屋さんで出回ってるのも、80センチ前後のがほとんどですよね。
でも、今、流行ってるのが「長羽織」といわれる、丈が85センチ以上の羽織。
大正時代から昭和初期にかけて流行っていた長さです。
ちょうど『細雪』の時代ですよね。
映画版でも素敵な長羽織を四姉妹がそれぞれ着こなしてました。
で、着付け教室の先生方も、みんな長羽織をステキに着こなしてるので
その先生に
「羽織やコートの丈って、やっぱり長いほうがいいんですかね~~」
って聞いたら
「そんなことないわよ~~。着物や状況によっては短いほうがいいときもあるし。
洋服だって流行はあっても、長いスカートをはいている人もいれば、短いのをはいている人もいるでしょ。それと同じで、羽織だって短くても長くてもいいのよ。
ただ、体型とのバランスは大切だし
あまり羽織丈が短過ぎると、正式なお出かけ着としては物足りないし
やはり、丈が長いほど、ドレッシーで大人っぽい感じになるわね」と。
なるほどね~~と納得したのでした。
で、羽織丈といえば・・・
どなたかちょっと忘れてしまったのですが
著書も多い有名なご高齢の着物コーディネーターの方が、
ある着物本の後書きに書いていた文を本屋で立ち読みして(スミマセン)
思わず、涙ぐんでしまったのです。
どういうことが書いてあったかというと・・・
戦前の、着物文化が華やかだった平和な時代は
羽織の丈も、袂の丈も長いのがトレンドであった。
この「長い」というのは、まさしく「平和」の象徴でもあったんだと。
ところが世の中に戦争の色が濃くなると
「着物」は贅沢品として疎まれ
長い丈を短くして質素にすることを強要され
あげくの果てに、着物裾は腰まで切って、もんぺになってしまった。。。。
そして戦争が終わると・・・
優雅で美しい日本の着物文化がそのまま廃れ
西洋から入ってきた洋服に居場所を奪われてしまい
こんにちに至ってしまったのである・・・と。
戦後に出回った「丈の短い羽織」は戦争の名残なのだと。
つまり、戦争が日本古来の豊かな文化を奪い、変えてしまった。
そんなこと、絶対にこれからはあってはいけないことなのだ。と。
ちょっと表現は違ったかもしれませんが、
「戦争はやっちゃいけない」と、ただやみくもに訴えるより
ずっと心にずーーんときたのでした。
もし、あの戦争がなかったら・・・
今や、洋服も着物も両方が対等に共存する素晴らしいファッション文化ができあがって
「おせん」ちゃんのような姿の若い女の子が普通に闊歩してたり
男性が着流しで粋にお洒落してたり・・・
なーんて光景も普通に見られたかもしれませんよね。。。
とはいえ
長い羽織。短い羽織。
どっちでも選べて、着物を楽しめる、今の平和な時代。
ずーーっと続いて欲しいです。
羽織と道行きコート。
この蒸し暑い最中に
こんな暑苦しいものを紹介して、ほんとスンマセン(汗)
まずは羽織。しつけ付きの新品。
桜色にきらびやかな刺繍がほどこされている凝った羽織です。
もしかしたら、
元は訪問着か何かだったのを仕立て直したのかな??
日常に着るって感じのものではないですね。
歌舞伎座の1等席に座るときとか
特別なお出かけに重ね着する羽織ものという感じでしょうか。
次は道行きコート。これも全くの新品。三越製。
胴裏には母の旧姓ではなく、今の名字が刺繍されているので
おそらく、我が家に後妻としてお嫁に来たときに、
継母方の母が誂えて持たせたのでしょうね。
そのせいか、ほかの若向きの着物に比べると、ちょっと落ち着いた色合い。
渋い赤と黒のグラデーション(つまり、ボカシ)。
この冬からすぐ着られる、使い勝手の良さそうなコートです。
この羽織も道行きコートも丈はだいたい80センチ強ぐらい。
どうやら戦後から昭和後期は、このくらいの丈が普通だったようで
古着屋さんで出回ってるのも、80センチ前後のがほとんどですよね。
でも、今、流行ってるのが「長羽織」といわれる、丈が85センチ以上の羽織。
大正時代から昭和初期にかけて流行っていた長さです。
ちょうど『細雪』の時代ですよね。
映画版でも素敵な長羽織を四姉妹がそれぞれ着こなしてました。
で、着付け教室の先生方も、みんな長羽織をステキに着こなしてるので
その先生に
「羽織やコートの丈って、やっぱり長いほうがいいんですかね~~」
って聞いたら
「そんなことないわよ~~。着物や状況によっては短いほうがいいときもあるし。
洋服だって流行はあっても、長いスカートをはいている人もいれば、短いのをはいている人もいるでしょ。それと同じで、羽織だって短くても長くてもいいのよ。
ただ、体型とのバランスは大切だし
あまり羽織丈が短過ぎると、正式なお出かけ着としては物足りないし
やはり、丈が長いほど、ドレッシーで大人っぽい感じになるわね」と。
なるほどね~~と納得したのでした。
で、羽織丈といえば・・・
どなたかちょっと忘れてしまったのですが
著書も多い有名なご高齢の着物コーディネーターの方が、
ある着物本の後書きに書いていた文を本屋で立ち読みして(スミマセン)
思わず、涙ぐんでしまったのです。
どういうことが書いてあったかというと・・・
戦前の、着物文化が華やかだった平和な時代は
羽織の丈も、袂の丈も長いのがトレンドであった。
この「長い」というのは、まさしく「平和」の象徴でもあったんだと。
ところが世の中に戦争の色が濃くなると
「着物」は贅沢品として疎まれ
長い丈を短くして質素にすることを強要され
あげくの果てに、着物裾は腰まで切って、もんぺになってしまった。。。。
そして戦争が終わると・・・
優雅で美しい日本の着物文化がそのまま廃れ
西洋から入ってきた洋服に居場所を奪われてしまい
こんにちに至ってしまったのである・・・と。
戦後に出回った「丈の短い羽織」は戦争の名残なのだと。
つまり、戦争が日本古来の豊かな文化を奪い、変えてしまった。
そんなこと、絶対にこれからはあってはいけないことなのだ。と。
ちょっと表現は違ったかもしれませんが、
「戦争はやっちゃいけない」と、ただやみくもに訴えるより
ずっと心にずーーんときたのでした。
もし、あの戦争がなかったら・・・
今や、洋服も着物も両方が対等に共存する素晴らしいファッション文化ができあがって
「おせん」ちゃんのような姿の若い女の子が普通に闊歩してたり
男性が着流しで粋にお洒落してたり・・・
なーんて光景も普通に見られたかもしれませんよね。。。
とはいえ
長い羽織。短い羽織。
どっちでも選べて、着物を楽しめる、今の平和な時代。
ずーーっと続いて欲しいです。
by nekodeko_51
| 2008-07-18 07:21
| 着物に恋して